12月の前半に友達の結婚式がありました。
せっかくのおよばれ、着物を着たい!
でも、振袖って言うのもなあ・・・と思いながら。
(実はまだまだ着たかったりもするし、着てもいいと思っているのですが、)
結婚式に呼んでもらうことになったら、
色無地持ってないから、つくろうかなあと思っていました。
以前、大量にいただいた着物や帯の中に、白生地も含まれていたからでした。
白生地というのは、読んで字のごとく、白い生地です。
縮緬も綸子も。紬のものもあります。
これから、好きな色なり、柄なりに染めて使うのですが、
ぱっと思いつくのはやっぱり色無地。
縮緬も素敵ですが、綸子で地紋が入っているものが一般的というか
やっぱりこれが多いんではないかと思います。
地紋も色々あります。その地紋によってカジュアルな雰囲気だったり、
礼装も大丈夫!だったりと区別があります。
お茶を習っているわけでもないし、あまり色無地も必要ないかもしれないけど、
結婚式に、格の高い帯して出るのもいいのかなあと思ったのが最初ですが、
たまたま秋号の『七緒』が色無地の特集でした。
七緒 vol.19―着物からはじまる暮らし (プレジデントムック)
立ち読み程度ですが、読んでみたら、
色無地を持ってないし、欲しいし、着て見たいかも!と思いました。
普段、紬ばかり着ていて、柔らかい着物もあまり着ないし、
お茶をやっているわけでもないので、なじみがなかったのですが、
かなり色々着れるんだなあと思わせてくれる1冊でした。
で、色無地作ることにしました。
いただいた白生地は、こちら↓。地紋が、紗綾形模様(さやがたもよう)。
(この写真で地紋がわかるかどうか・・・。丹後産の正絹の生地。)
別名、「卍(まんじ)つなぎ」とも言われるように卍を斜めに連ねた連続模様。
卍崩し、雷文繋ぎ、菱万字ともよばれるらしいのですが、
一つの模様でこれだけ色んな呼ばれ方をするのはなんか面白いですね。
宇宙、無限、円満などの意味があり、吉祥文様として知られています。
桃山時代に明(中国)から輸入された織物が「紗綾」という名前で、
地紋がこの模様だったので、この名がついたようです。
江戸時代、地紋はこの紗綾形がほとんどで、それらに菊や蘭などをあしらった小袖が流行り、
紗綾形綸子ともいわれていたとか。
昔、女性の慶事礼装用の半衿はこの紗綾形と決まっていたのだそう。
確かに私の持っている伊達衿の地紋も紗綾形だった気がします。
ベーシックで、きちんとした席でも通用する吉祥模様です。
でも、私の中では、子供の時にテレビで、
高橋英樹さん演じる遠山の金さんが奉行所で登場する時に
ふすまにこの紗綾形が本当に大きく描かれていていたのが印象に残っています。
この柄と言えば、遠山の金さん!笑
奉行所のふすまは全部、紗綾形だったんでしょうか?気になります。
知っている方いたら教えてください。
生地の端っこには、丹後産である事、正絹である事、そして、量目が入っていました。
生地は、重さと長さでその量を量ります。
12mで700g 標準的なのでは?と思います。
今は13mで700g以上が標準とされているとか。
色無地で一番肝心なのはやっぱり色ですよね。
何色に染めるか、かなり迷いました。
でも、やっぱり好きな色ベースで、若々しい色が良いかなあということで、
日本の伝統色 (Graphic Design)をぱらぱら。
ペパーミントのような緑をイメージしました。
そう、着物人のテーマカラーにもなっています。
ここ最近好きな色なんです。
その後、染屋さんの見本帳からイメージの色に近い色を選びました。
染屋さんでは、サンプルになる色を持っていけば
その色に染めてもらうことも出来るのですが、
結局染まっている生地によって光の反射率も変わってきて
同じ色といっても、明るく見えたり暗く見えたりするので
サンプル帳から選びました。
日本の色で言う、
『白緑(びゃくろく)色』が一番近いと思います。
サンプルですと、ほんの小さなサイズでしか見れません。
これが面積が広くなるとどうなるかというのはなかなか想像しずらいです。
また、この白生地自体、焼けていて、黄ばんでいるので、
思った色にあがらない可能性もあるとの事でした。
でも、それはまた、おおらかな気持ちで構えていれば、いいのかなあと思います。
八掛は、ほんのちょっとだけ共濃い。表地よりは少し濃い色で注文しました。
待つこと3週間ほどで、表地と八掛の染めが出来上がってきました。
思った以上にきれいな色。
次は、縫い紋を注文。
自分の家の紋は入れず、
" target="_blank">着物人の家紋マーク ー 三ツ眼鏡紋を
陰紋で入れることは当初から決めていました。笑
色無地に背紋の日向紋を入れれば、準礼装になるということで習ったんですが、
日向紋だと、準礼装以外では使いづらくなってしまうので、
生地の色と同系色で縫い紋かなあと思っていました。
縫い紋で十分ではという風に、『七緒』のなかで言っていて、
そういう流れなのかなあと参考にしました。
刺繍糸の色も決めなくてはならないのですが、刺繍屋さんの経験に任せました。
幅広い用途で着たいことと、年齢と身丈と袖丈と
紋の原稿の出力紙をお渡ししました。
紋のサイズは、女物は五分五厘(約2.1?)、男物は一寸(約3.8?)。
しゃれ紋で、縫い紋だと、もっと大きいサイズにしたりもするのですが、
ちゃんとした感じの会でも、着たいので、五分五厘にしました。
共濃いで出来上がってきました。いい感じです。
金糸や銀糸でする場合もあるようです。
縫い方もお任せ。すが縫いという、一般的な縫い方。
じつは、刺繍教室は、今、長ーいお休みをさせていただいています。
本当はこれくらい、自分でするといいのかもしれないんですが。
時間も余裕もなく断念。
刺繍があがってきたところ。こんな感じでぱっくり半分ずつされています。
身丈や袖丈で、裁ち合わせで見当つけて、刺繍してもらいます。
私は、おっちょこちょいで粗相も多いので
明るい色の着物なので、今回はパールトーン加工をしてもらいました。
風合いが変わると利用しない方もいるようですが、
色々区別して、使い分けるといいのかなあと、たまに利用しています。
実際、それで助かったこともたくさんあります。
さて、お仕立て。
実は色々問題が発生していました。
まずは、昔の古い白生地ということで、反物の巾が狭かったです。
私の裄が長い(1尺8寸4分くらい)ので、反巾いっぱいでお願いするしかありませんでした。
まあ、それは、いつものことで、紬は特に巾がないことが多いので
今回も反巾いっぱいでお仕立てしました。(1尺8寸になりました。)
あと、古い白生地なので、生地が焼けてうっすら境目が出来てしまっていたり、
ポツポツと点々の黄色いしみがあったり。
(一番外側と中側では生地の色が違ってしまっていました。焼けているんです。)
(なんと生地に付いていた紙のタグの痕がシミになっていました。)
そういう不都合なところが出来るだけ目立たぬような場所に来るように
お願いしたり、確認したりがめんどくさかったです。
染める前に、漂白をすればもしかしたら、ここまで面倒ではなかったのかもしれません。
あとは、比較的薄い色をかけたのですが、
濃い色だったら、もっと気にならなかったのかもしれません。
そんな色々な工程を乗り越えて、出来上がってきました。
(パソコンの画面上、この素敵な色が再現できているとは思えないのですが、
八掛の色もこうしてみると本当にちょうどよかったです。)
手がかかった分、愛着も持てるし、可愛いです。
色んな意味で世界に一枚の色無地です。一応出来る範囲で自分サイズだし。嬉しい!
家紋のところはこんな感じです。
(半分こだった刺繍がぴったり合うんですよね。凄い!)
(色は全然忠実な再現ではありませんが、結局光の加減で、こんな感じに
地紋があらわれるのが、色無地の面白さな気がしています。)
でも、実は、この着物にはまだ袖を通していないんですよ。
友達の結婚式で着る予定だったんですが、着なくなりました。
他にいい着物が現れたからなんですよ。
お正月に着ようかなあ。お正月に着るにはちょっとシンプルすぎかなあ。
もっと華やかなほうが・・・なんていっていると
色無地が着れる日は遠くなっていく気がします。
勿体つけないで気軽に着たいと思います。
また、着たらレポートしますね。