着物の話から若干離れがち。
ほとんど旅行blogでは?なんて声も聞かれそうですが、軸はぶれていません。
地のものを愛する気持ちですから。
さて、旅の続き。
松江の後、
安来(やすぎ)に行きました。
どじょうすくいと安来節で有名ですが、もっと有名なものがあります。
それは
足立美術館。
えっ?聞いた事ないですか?
アメリカの日本庭園専門誌『ジャーナル・オブ・ジャパニーズ・ガーデニング』の選ぶ
日本庭園日本庭園ランキングにおいて5年連続世界一らしいです。
私も実は最近まで知りませんでした。
(まあそんな専門誌があるとは!!!って言うのにも関心なんですけどね)
知ってから、行ってみたくて仕方なかったんですよ。
でもやっぱり大雪でした。
雪の庭園も美しくて、いいんですが、
枯山水のお庭は、果たしてちゃんと
枯山水だったのかさえ不明でした。
しんしんと降る雪の中、松が折れては大変だと雪をかく作業をしていました。
それはもう、手の行き届いた立派なお庭ではありました。
そして、横山大観コレクション、それから、
陶芸館というのもあり、そこには島根県安来市出身の陶芸家・河井寛次郎室や
食を中心に書や陶芸などの工芸に才能を見いだした北大路魯山人室なんていうのもありました。
趣向の違う素敵な茶室も二つもあります。
土田も一服いただいてのんびりしました。
茶碗は、島根県かの窯元のものを使っていて素敵だなあと思いましたし、
純金の茶釜で沸かしたお湯でお茶を立てて出していただけて長生きしそうです。
一言で言うと、本当にすばらしかったです。
さてさて、
鳥取と言えば
砂丘。
はい、そこでも大雪でした。涙。(もういいの・・。)
土田が鳥取で見たかったものは砂丘。
砂丘も雪景色とは珍しいけど、雪が降ると一見のゲレンデです。
馬の背と言われる部分までのぼると向こう側は日本海。雪と砂がおりなす風紋。
雪の砂丘でオアシスがなんだか不思議な存在でした。
鳥取ではそれ以外は特に考えていなかったのですが、
出発前に流し読みしたガイドブックに
鳥取民芸美術館なるものがある事を確認していました。
民藝にとっても弱い土田。
去年の夏、
倉敷に行った時にそれは明らかになりました。
ここの一角がすごいんです。
鳥取の医者だった吉田璋也が
昭和の初め、民藝運動をすすめていた柳宗悦(やなぎむねよし)の民芸理論に共鳴し、作った
『鳥取民芸美術館』、隣接する『たくみ工芸店』、
さらに隣には生活的美術館『
たくみ割烹』があります。
美術館には山陰の古い民芸から、日本全国、中国、ヨーロッパなどから収集された民芸品が
展示されています。
館内はそれほど広くないですし、何とも思わない人が見たら、
あっという間に見終わってしまうくらいの展示の量ですが、
館内のインテリア、電気のスイッチや、階段などただ古いものって言うだけではない、
美しさがあります。
静かでゆったりした雰囲気です。のんびりじっくり鑑賞しました。
たくみ工芸店は、職人たちの新作発表の場として開設されたようです。
鳥取県内をはじめ、山陰、日本各地の工芸品が置かれていて、買う事が出来ます。
(海外の物も奥の方にはありました。)
グッとくる器の数々。その他にも木工品や因州の和紙やお面など、璋也の理念に基づいたセレクトの物たちが展示販売されています。
やっぱりその土地の物を買わねばと!!素敵な食器をいくつか手に入れてきました。
艶やかな黒にふちの茶褐色のにじみ方がきれい。
石州江津焼
調べきれずに申し訳ないのですが、
どうやら一般的に石見焼と言われている物の事のようです。
島根県江津市を中心にした石見地方で焼かれている陶器のこと。
大きな水がめ(はんど)で有名なようです。
石州というと、石州(せきしゅう)瓦でも有名ですよね。
(豊富で良質の陶土があるってことでしょう。)
石見銀山遺跡が世界遺産登録されてちょっと話題になった、あの辺の焼き物です。
発色の良い青がきれい。
湯町窯
島根県の玉造温泉の近くの窯。
エッグベーカーという物があるのが、特徴的。
黄色い優しい感じの物も多い中、
澄んだ夜空模様なブルーが美しく、このお皿を選びました。
この発色の良い青い釉薬のことを『なまこ』というそうです。
鉄が発色剤のになっているらしいです。
元々この地域の焼き物は、布志名焼(ふじなやき)とよばれて、
江戸時代に松江藩の御用窯として開かれ、
先日の記事にもふれた不昧公の好みを反映した茶器が焼かれたりもしていたようですが、衰退していたそうです。
そこへ、こちらの窯も民藝運動の代表的な陶芸家、
河井寛次郎、浜田庄司、バーナード・リーチの指導のもと
新民藝として、復興したようです。
何となく北欧風な感じもします。
緑と黒のコントラストが、かわいい。
因州・中井窯
この緑と黒の掛け分け見た事ある方も多いのでは?
吉田璋也の指導によって
新作の民芸に取り組んだ牛ノ戸窯の脇窯として始まったようです。
すべて愛用中の品々です。
そして、
美術館の延長。物の美しさを眼や心で鑑賞するばかりではなく、
使ってみて、その美しさを味わってもらうため、生活的鑑賞をする美術館
『
たくみ割烹』。
地の物をうまく食べる祖先からの長い経験から知り得た伝統的な調理方法による
鳥取の季節料理と
この地方の資材を新しい知識と智恵で
いかににおいしく食べるかという料理を提供している
美しい器物でうまい食事をという施設だそうです。
吉田璋也。すごい方です。
土田もこちらで、とってもおいしいお肉いただいちゃいました。笑